
糖尿病網膜症は、糖尿病腎症・糖尿病神経症と並んで、糖尿病の三大合併症の一つであり、日本の中途失明原因第2位の疾患です。カメラでいえばフィルムに相当する網膜という大事な器官に含まれる毛細血管が徐々に障害されることによって発症します。糖尿病が発症して5年経過した方の20%~30%に網膜症があると報告されています。
初期には自覚症状がなく、中期以降に視力障害を生じます。そして、進行すれば網膜剥離や続発性の緑内障によって失明することがあります。治療ですが、初期は血糖コントロールのみで経過観察を行います。中期になるとレーザーによる網膜光凝固術が必要になってきます。
さらに進行して、硝子体出血や網膜剥離が生じた場合には、硝子体手術が必要となります。
網膜光凝固術

網膜光凝固術は、網膜にレーザーを照射して、新生血管の発生を防ぐ方法です。また、出血や白斑も治療できます。この治療で視力が回復するわけではありませんが、網膜症の進行を阻止することができています。
・点眼麻酔をして、1回15~30分程度の時間で終了します。
・進行の段階によって、数回に分けて治療します。
硝子体手術

新生血管が破れて硝子体に出血を起こす硝子体出血や、網膜が眼底から剥がれる網膜剥離が起きた場合には、硝子体手術が必要となります。
自覚症状が出現する頃には中期以降の糖尿病網膜症となっているため、糖尿病であることがわかったら、自覚症状がなくても定期的に眼底検査を受けることが重要です。